工事経歴書は「単なる報告書」じゃない!“未来を拓く”作成術

毎年、決算期を迎えるたびに作成・提出が義務付けられている「工事経歴書」。「ただ過去の工事を羅列するだけの書類だろう」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実はこの工事経歴書、現在の許可維持だけでなく、貴社の10年後、そしてその先の事業展開をも左右する、非常に戦略的な意味を持つ重要書類なのです。

今回は、この工事経歴書の基本的な書き方から、将来の事業拡大を見据えた「プロの技」まで、詳しく解説いたします。


目次

工事経歴書とは?~基本的な役割と記載内容~

「工事経歴書」は、建設業許可をお持ちの建設業者様が、決算変更届の一部として毎年提出が義務付けられている書類です。許可行政庁が貴社の事業実績を把握するための基本資料となります。

主な記載事項は以下の通りです。

  • 建設工事の種類(業種)
  • 直近の決算期に対応する完成工事高
  • 具体的な工事内容:注文者名、工事名、工事現場の所在地、請負代金の額(元請・下請の別を含む)、工期(着工~完成予定年月日)、配置された主任技術者または監理技術者など。
  • 個人情報への配慮:「注文者」や「工事名」は、「A邸新築工事」のように個人が特定されないよう配慮が必要です。
  • 財務諸表との整合性:工事経歴書の合計金額は、財務諸表(損益計算書)の完成工事高と必ず一致させる必要があります。

「経審」を受けるか否かで変わる記載ルール

工事経歴書の記載方法には、貴社が経営事項審査(経審)を申請するかどうかで異なるルールが設けられています。

  • 経審を申請する場合:元請工事のうち請負代金の額の合計額の7割を超える分までを、金額の大きい順に記載します。500万円未満(建築一式工事の場合は1,500万円未満)の工事は10件まで、1,000億円を超える部分は記載不要です。その後、その他の元請・下請工事についても同様のルールで記載し、最後に主な未成工事を記載します。
  • 経審を申請しない場合:主な完成工事を請負代金の額の大きい順に記載し、その後に主な未成工事を記載します。

また、経審を申請する場合は、工事経歴書も財務諸表も消費税等税抜きで作成する必要がありますのでご注意ください。

【ここが重要!】プロが見る「工事経歴書」の戦略的価値

工事経歴書と併せて提出する「直前3年の各事業年度における工事施工金額」には、「その他の建設工事の施工金額」という記入欄があります。

この欄の活用こそが、「プロの技」であり、貴社の将来を大きく左右する重要なポイントです。

たとえ現在許可を受けていない業種であっても、関連する工事の実績があれば、この「その他の建設工事の施工金額」欄に必ず記載しておくべきなのです。この実績が毎年積み重ねられ、10年分蓄積されることで、「実務経験10年」という要件を満たし、将来的に新たな建設業許可の業種追加が可能になる場合があります

もし、この「その他の建設工事の施工金額」欄が長期間ゼロのままだと、10年後に「実務経験10年」による業種追加の道が閉ざされてしまい、将来の受注増の機会を逸してしまう可能性があります。

日々の業務で忙しい中、細かく記載するのは大変かもしれませんが、この少しの工夫が、貴社の10年後のビジネスチャンスを大きく広げることにつながります。

提出期限と怠った場合のリスク

決算変更届は、決算終了後4か月以内に許可行政庁へ提出する義務があります。この提出を怠ると、建設業許可の更新ができなくなるなど、貴社の事業に甚大な不利益が生じる可能性があります。


まとめ

工事経歴書は、単なる過去の実績報告書ではありません。現在の建設業許可を維持するための必須書類であると同時に、貴社の将来的な事業展開、特に新たな業種追加の可能性を広げるための戦略的なツールとなり得るのです。

正確かつ戦略的な工事経歴書の作成は、専門的な知識と経験が求められる作業です。当事務所では、貴社の将来を見据えた決算変更届や工事経歴書の作成を心を込めてサポートいたします。

ご不明な点やご不安な点がございましたら、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。貴社の未来を拓く第一歩を、共に踏み出しましょう。

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