電気工事は、私たちの暮らしを支える上で欠かせない大切な仕事です。しかし、事業を始めるには、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づき、適切な登録や届出が義務付けられています。今回は、電気工事業を営むために必要な登録や届出の全体像について、詳しく解説していきます。
目次
- なぜ登録・届出が必要なの?
- 基本的な区分をチェック!
- 電気工事の種類と必要な資格は?
- 必要な手続きと提出書類の詳細
- 登録・届出後の義務事項
- まとめ
なぜ登録・届出が必要なの?
電気工事は、感電や電気火災、電波障害などの危険を伴うため、その業務の適正化と保安の確保が非常に重要です。そのため、県内のみに営業所を設置して電気工事業を営む場合は、県知事による登録を受けるか、特定の条件を満たす場合は届出を行う必要があります。
基本的な区分をチェック!
電気工事業を営む事業者は、大きく分けて以下の2つのタイプに区分されます。
- 登録電気工事業者
建設業許可を持たずに電気工事業を営む方が該当します。
県知事への登録が必要です。
- みなし登録電気工事業者(電気工事業開始届出)
建設業許可を受けて電気工事業を営む方が該当します。
県知事への届出が必要です。
既に登録電気工事業者として登録していた方が建設業許可を取得した場合は、現在の登録を廃止し、速やかに「みなし登録電気工事業者」への切り替え(電気工事業廃止届出書と電気工事業開始届出書の両方を提出)が必要です。
電気工事の種類と必要な資格は?
電気工事業の対象となる「電気工作物」は、主に以下の2種類に分かれます。
- 一般用電気工作物
主に一般家庭、商店、小規模事務所など、低圧(600V以下)で受電している施設に設置される電気工作物です。小規模な太陽光発電設備も含まれます。
これに係る電気工事の作業には、第二種電気工事士の資格が必要です。第一種電気工事士も作業に従事できます。
- 自家用電気工作物
「一般用電気工作物」以外の事業用電気工作物を指し、ビルや工場などの屋内外配線が該当します。
特に、最大電力500キロワット未満の需要設備の電気工事を行う場合に、電気工事業の登録などが必要です。
これに係る電気工事の作業には、第一種電気工事士の資格が必要です。
必要な手続きと提出書類の詳細
それでは、具体的な手続きと提出書類を見ていきましょう。
登録電気工事業者として登録する場合
県知事による登録が必要です。
(1) 申請者の欠格事由に関する誓約書:申請者(法人にあっては役員含む)が欠格事由に該当しないことを誓約する書類です。
(2) 主任電気工事士の欠格事由に関する誓約書:営業所に置く主任電気工事士が欠格事由に該当しないことを誓約する書類です。申請者自身が主任電気工事士となる場合は不要です。
(3) 主任電気工事士の雇用・在職証明書:主任電気工事士が申請者の従業員(役員)であることを証明する書類です。申請者自身が主任電気工事士となる場合は不要です。
(4) 主任電気工事士等実務経験証明書:主任電気工事士の電気工事実務経験を証明する書類です。
◦第一種電気工事士が主任電気工事士となる場合は不要です。
◦証明者は、原則として3年間以上の雇用関係にある(あった)登録電気工事業者または届出電気工事業者であることが必要です。
◦第二種電気工事士免状取得後3年以上の工事経験(一般用電気工作物の場合)または認定電気工事従事者認定証取得後3年以上の工事経験(自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の場合)が必要です。
◦この証明書はすべて証明者が記載し、申請者が記載することはできません。
(5) 主任電気工事士の免状の写し(定期講習の記録含む):主任電気工事士の電気工事士免状のコピーを貼り付けます。
◦第一種電気工事士で5年以内に定期講習を受講されていない方は、講習申し込みを証明する書類の写し(講習料の銀行振り込みの控え等)の添付が必要です。
(6) 登記事項証明書:法人の場合のみ必要です。
みなし登録電気工事業者として届出する場合
建設業許可を受けて電気工事業を営む方が対象です。
(1) 電気工事業開始届出書
(2) 主任電気工事士の欠格事由に関する誓約書
(3) 主任電気工事士の雇用・在職証明書
(4) 主任電気工事士等実務経験証明書
(5) 主任電気工事士の免状の写し(定期講習の記録含む)
(6) 建設業許可について(通知)の写し
注意点:既に登録電気工事業者として登録していた方が建設業許可を取得し、みなし登録電気工事業者へ切り替える場合は、上記(2)~(5)については、従前の登録内容と変更のあるもののみ添付すればよいとされています。
登録・届出後の義務事項
登録や届出が完了した後も、電気工事業者は以下の義務を遵守する必要があります。
主任電気工事士の設置
◦各営業所に主任電気工事士を置く必要があります。
◦自家用電気工作物を記載する場合、主任電気工事士は第一種電気工事士免状を有している必要があります。
器具の備付け
◦営業所ごとに、絶縁抵抗計、接地抵抗計、回路計などの器具を備え付ける必要があります。
◦自家用電気工事も行う営業所では、これらに加え低圧検電器、高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置も必要です。
◦ただし、継電器試験装置と絶縁耐力試験装置については、賃貸借契約等により必要なときに使用できる措置が講じられていれば備え付けられているとみなされます。
標識の掲示
◦営業所および電気工事の施工場所ごとに、氏名または名称、登録番号などを記載した標識を見やすい場所に掲示する必要があります。
帳簿の備付け
◦営業所ごとに帳簿を備え、注文者の氏名、電気工事の種類、施工年月日、主任電気工事士・作業者の氏名、配線図、検査結果などを記載し、5年間保存する義務があります。
変更届の提出
◦氏名、住所、代表者氏名、営業所の名称・所在地、電気工事の種類、役員(法人の場合)、主任電気工事士の氏名や免状の種類・交付番号などに変更が生じた場合、以下の期間内に手続きが必要です。
▪登録電気工事業者:変更の日から30日以内。
▪みなし登録電気工事業者:遅滞なく。
登録の有効期間と更新
◦登録の有効期間は5年です。引き続き電気工事業を営む場合は、満了の日の30日前までに更新申請書を提出する必要があります。
まとめ
電気工事業を始めるには、これらの登録や届出、そしてその後の義務の遵守が不可欠です。適切な手続きを行い、安全かつ適正な電気工事業を営んでいきましょう。ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
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