建設業を個人事業主として営む中で、「もっと大きな仕事を受注したい」「信頼性を高めたい」と感じることはありませんか?その一歩となるのが、建設業許可の取得です。
今回は、個人事業主として管工事の「一般建設業許可」を取得するために必要な要件を、わかりやすく解説します。
目次
- 建設業許可とは?なぜ必要?
- 「一般建設業許可」と「知事許可」とは?
- 管工事の「一般建設業許可」取得のための5つの要件
- (1) 経営業務の管理を適正に行う体制を有すること
- (2) 適切な社会保険に加入していること
- (3) 営業所ごとに専任の技術者(営業所技術者等)を配置していること
- (4) 誠実性を有していること
- (5) 財産的基礎又は金銭的信用を有していること
- 欠格要件について
- まとめ
1.建設業許可とは?なぜ必要?
建設業許可は、建設業を営む方の資質の向上や、請負契約の適正化を図ることを目的としています。これにより、適正な施工が確保され、発注者が保護され、建設業全体の健全な発展が促進されます。
すべての工事に許可が必要なわけではありません。「軽微な工事」のみを請け負う場合は許可不要です。管工事の場合、「軽微な工事」とは1件の請負代金の額が500万円未満(税込)の工事を指します。つまり、500万円以上の管工事を請け負う場合は、建設業許可が必須となります。
2.「一般建設業許可」と「知事許可」とは?
建設業許可にはいくつかの区分があります。
- 一般建設業許可: 発注者から直接請け負う工事において、一次下請に発注する下請契約の総額が5,000万円未満の工事を請け負う場合に必要です。
- 都道府県知事許可: 営業所を1つの都道府県のみに設けて営業しようとする場合に取得します。個人事業主の場合、営業所の所在地が兵庫県内のみであれば、兵庫県知事許可の対象となります。
3.管工事の「一般建設業許可」取得のための5つの要件
建設業許可を受けるためには、以下の5つの要件をすべて満たし、かつ、欠格要件に該当しないことが必要です。
(1) 経営業務の管理を適正に行う体制を有すること
個人事業主の場合、事業主本人またはその支配人が、建設業に関する経営業務の管理を適正に行う体制を確保する必要があります。以下のいずれかの経験が必要です。
- 経営業務の管理責任者としての経験
◦建設業に関する経営業務の管理経験を5年以上有していること。
この経験は、事業主、支配人、支店長、営業所長など、営業取引上対外的に責任を有する地位での経験を指します。
- 経営業務を補佐した経験
◦建設業に関する経営業務全般(資金調達、技術者・技能者の配置、下請業者との契約締結など)について6年以上の補佐経 験を有していること。
これは、経営業務の管理責任者に次ぐ職制上の地位での経験を指します。
- 体制で経営経験を満たす場合
◦常勤役員等(事業主本人または支配人)として建設業に関する役員等としての経験が2年以上あり、かつ役員等または役員 等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験が合計5年以上ある者。
◦建設業に関する役員等としての経験2年以上あり、左記の期間を含め5年以上の役員等としての経験がある者。
◦これに加え、その者を直接補佐する者として、申請業者における財務管理、労務管理、業務運営のいずれかの業務経験をそれぞれ5年以上有する者を配置する必要があります。補佐する者は、経営業務の管理責任者とは兼ねられず、他社での業務経験は認められません。
(2) 適切な社会保険に加入していること
従業員の有無によって加入すべき社会保険の種類が異なります。
- 常用労働者が5人以上の場合
◦雇用保険
◦健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、または適用除外承認を受けた国民健康保険組合など)
◦厚生年金
これら全てに加入している必要があります。
- 常用労働者が1人~4人の場合
◦雇用保険に加入している必要があります。
◦医療保険と年金保険は、個人で国民健康保険または国民健康保険組合、国民年金に加入していれば問題ありません。
- 事業主本人または一人親方の場合
◦雇用保険の加入義務はありません。
◦医療保険と年金保険は、個人で国民健康保険または国民健康保険組合、国民年金に加入していれば問題ありません。
(3) 営業所ごとに専任の技術者(営業所技術者等)を配置していること
建設工事の請負契約を適正に締結・履行するために、営業所ごとに、その営業所に常勤して専らその職務に従事する「専任の技術者」を配置する必要があります。
管工事業の専任技術者は、以下のいずれかの資格要件を満たす必要があります。
- 国家資格取得者等
◦例えば、管工事施工管理技士などの国家資格を有していること。
- 指定学科卒業+実務経験
◦大学・高等専門学校の土木工学、建築学、機械工学、都市工学または衛生工学などの指定学科を卒業後、3年以上の実務経験があること。
◦高等学校等の指定学科を卒業後、5年以上の実務経験があること。
実務経験とは、建設工事の施工に関する技術上の全ての職務経験を指し、設計技術者としての設計や現場監督技術者としての監督経験も含まれます。
- 10年以上の実務経験
◦上記に該当しない場合でも、管工事に関して10年以上の実務経験があること。
(4) 誠実性を有していること
個人事業主の場合は事業主本人または政令で定める使用人(支配人など)が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことが求められます。不正な行為とは詐欺や脅迫、横領など、不誠実な行為とは契約違反などが該当します。
(5) 財産的基礎又は金銭的信用を有していること
建設業の請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用があることが必要です。
一般建設業の場合、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 自己資本の額が500万円以上であること。
◦個人事業主の自己資本は、期首資本金、事業主借勘定、事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額で計算されます。
- 500万円以上の資金を調達する能力があること(金融機関の融資証明書や預金残高証明書などで証明)。
4.欠格要件について
上記の許可要件を満たしても、以下のいずれかの「欠格要件」に該当する場合は許可を受けることができません。
- 許可申請書や添付書類に虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が欠けている場合。
- 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ていない場合。
- 建設業の許可を不正な手段で取得したり、営業停止処分の違反などにより許可を取り消されてから5年が経過していない場合。
- 建設業法や特定の法令(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法の一部、労働基準法など)に違反し、罰金刑を受けてから5年が経過していない場合。
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年が経過していない場合、あるいは暴力団員等がその事業活動を支配している場合。
5. まとめ
建設業許可を取得することで、事業の幅が広がります。手続きは複雑に見えるかもしれませんが、一つずつ要件を確認し、計画的に準備を進めることが重要です。不明な点があればお気軽にご相談ください。
ご依頼の流れ
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新規許可の場合、申請後30日から45日程度で許可がおります。(※知事許可の場合)
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